■ 第10位
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title | FINE YOUNG CANNIBALS[ファイン・ヤング・カニバルズ] (1st album) |
artist | FINE YOUNG CANNIBALS[ファイン・ヤング・カニバルズ] |
released | 1985年 |
origin | Birmingham, England, UK |
comment | FINE YOUNG CANNIBALSのシンガー、Roland Gift[ローランド・ギフト]は白人以外の血が入ってそうな顔立ちなのだが、80年代のブルー・アイド・ソウルは「白人が歌うソウル」というよりも既に「スタイル」になっていたので、筆者の中でのFINE YOUNG CANNIBALSとはブルー・アイド・ソウルなのである。 FINE YOUNG CANNIBALSは、たった2枚のアルバムを残して解散したグループなのだが、その一瞬の輝きが凄かった。 Roland Giftは、声質も歌い方も非常に癖の強いシンガーなのだが、その手のシンガーにありがちな「ヘタウマ」ではなく「ちゃんと上手い」という、なかなかいないタイプのシンガーである。 |
■ 第9位
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title | SHE WAS ONLY A GROCER'S DAUGHTER[オンリー・ア・グローサーズ・ドーター] (3rd album) |
artist | THE BLOW MONKEYS[ザ・ブロウ・モンキーズ] |
released | 1986年 |
origin | London, England, UK |
comment | THE BLOW MONKEYSは、2nd「ANIMAL MAGIC」の時点で既に好きなバンドになっていたのだが、この3rdアルバムで完全にTHE BLOW MONKEYSに嵌ることになった。 バンドの中心人物、Dr. Robert[ドクター・ロバート]は、あのCurtis Mayfield[カーティス・メイフィールド]にもその才能を認められた人物であり、彼のギターと歌は本当に素晴らしい。 そして、あまり取り上げられることない地味な扱いになりがちだが、Dr. Robertを支える3人のメンバー、Neville Henry[ネヴィル・ヘンリー](tenor sax)、Mick Anker[ミック・アンカー](bass)、Tony Kiley(drums)[トニー・カイリー]の演奏も素晴らしい。 |
■ 第8位
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title | CAFÉ BLEU[カフェ・ブリュ] (1st album) |
artist | THE STYLE COUNCIL[ザ・スタイル・カウンシル] |
released | 1984年 |
origin | Woking, England, UK |
comment | 筆者が洋楽を聴き始めた時期は、Paul Weller[ポール・ウェラー]がTHE JAM[ザ・ジャム]を解散させ、THE STYLE COUNCILを結成する時期と同じだ。 最初に聴いたPaul WellerがらみのアルバムはTHE JAMのラスト・アルバム(6thアルバム)「THE GIFT」なのだが、リアルタイムで追いかけたのはTHE STYLE COUNCILなので、圧倒的にTHE STYLE COUNCILへの思い入れの方が強い。 モッズ/パンクから始まったTHE JAMは徐々にソウルに傾倒してゆき、「THE GIFT」の頃には既に半分くらいTHE STYLE COUNCILのようになっていた。 そして、このTHE STYLE COUNCILの1stアルバムでは、「もう僕にロックン・ロールを求めないでくれ」と言っているような、本格的なソウルのアルバムとなった。 |
■ 第7位
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title | Cupid & Psyche 85[キューピッド&サイケ85] (2ns album) |
artist | SCRITTI POLITTI[スクリッティ・ポリッティ] |
released | 1985年 |
origin | Leeds, England, UK |
comment | このアルバムは、全く隙のない完璧なアルバムだ。 デジタル・シンセサイザーを駆使したシンセポップを使ってブルー・アイド・ソウルを再構築したこのアルバムのサウンドは、今、この2022年に聴いても驚くほど新鮮である。 音楽性とは全く関係の無い話しなのだが、当時、付き合っていた女の子にこのアルバムを聴かせたところ、物凄く好きになってくれたアルバムでもあり、筆者にとっては思い出深い1枚なのである。 |
■ 第6位
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title | BACK IN THE HIGH LIFE[バック・イン・ザ・ハイ・ライフ] (4th album) |
artist | Steve Winwood[スティーヴ・ウィンウッド] |
released | 1986年 |
origin | Handsworth, Birmingham, England, UK |
comment | 筆者がこの手のリストを作る時は、基本的にそのディケイド(例えば今回なら1980年から1989年)にデビュー・したアーティストを選ぶことにしており、ベテランを取り上げることは避けている。 しかし、「好きなブルー・アイド・ソウル(80年代男性ヴォーカル)」と銘打ったのであれば、このアルバムを取り上げない訳にはいかない。 1960年代にTHE SPENCER DAVIS GROUP[ザ・スペンサー・デイヴィス・グループ]のシンガー/オルガン奏者としてデビューしたSteve Winwoodが、紆余曲折の活動を経て80年代に放ったブルー・アイド・ソウルの最高到達点である。 |
■ 第5位
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title | POPPED IN SOULED OUT[ポップド・イン・ソウルド・アウト] (1st album) |
artist | WET WET WET[ウェット・ウェット・ウェット] |
released | 1987年 |
origin | Clydebank, Scotland, UK |
comment | このアルバムがリリースされた1987年はハード・ロック/ヘヴィ・メタルの名盤が多い年で有名であり、筆者もこの辺りから聴く音楽の中心がハード・ロック/ヘヴィ・メタルに大きく偏っていった。 しかし、そんな中でも、このアルバムは本当によく聴いた1枚であり、デビュー・アルバムでこのクオリティの高さは驚愕に値する。 ブルー・アイド・ソウルのお手本のようなアルバムであり、「ブルー・アイド・ソウルって、こんな音楽だよ」と言って人に聴かせるのにもってこいのアルバムだ。 |
■ 第4位
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title | THE SECRET OF ASSOCIATION[シークレット・オヴ・アソシエーション] (2nd album) |
artist | Paul Young[ポール・ヤング] |
released | 1985年 |
origin | Luton, Bedfordshire, England, UK |
comment | あのRod Stewart[ロッド・スチュワート]をして、「俺の次に歌が上手い」と言わしめたシンガー、それがPaul Youngだ。 Hall & Oates[ホール&オーツ]のカヴァー、"Everytime You Go Away"が大ヒットしたため、「Paul Youngはカヴァー曲を歌う人」という印象が強いのかもしれない。 しかし、このアルバムの後半に纏めて収録されているPaul YoungとIan Kewley[イアン・キューリー]のペンによるオリジナル曲も、地味でシングル向きではないのだが(本人も「自分はキャッチーなシングル向きの曲を書けない」と言っている)、実は意外なほどクオリティが高いのである。 |
■ 第3位
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title | A NEW FLAME[ニュー・フレイム] (3rd album) |
artist | SIMPLY RED[シンプリー・レッド] |
released | 1989年 |
origin | Manchester, England, UK |
comment | 世間的には、大ヒット曲"Stars"が収録されている4th「STARS」がSIMPLY REDの最高傑作なのかもしれないが、筆者にとってのSIMPLY REDの最高傑作はこの3rdアルバムなのである。 1st「PICTURE BOOK」、2nd「MEN AND WOMEN」も好きなのだが、どこかインディー・バンドっぽさが残る貧乏臭さがあり、それはプロデュースなのかもしれないが、このバンド(というよりはMick Hucknall [ミック・ハックネル])の本質からは離れているのではないかと思っていた。 そんなインディー・バンドっぽさを完全に捨て去り、ゴージャスでファンキーなブルー・アイド・ソウルに生まれ変わった瞬間が、このアルバムなのである。 |
■ 第2位
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title | PARADE[パレード] (4th album) |
artist | SPANDAU BALLET[スパンダー・バレエ] |
released | 1984年 |
origin | Islington, London, England, UK |
comment | ニュー・ロマンティック系のバンドは3rdアルバムくらいで力尽きてしまう場合が殆どなのだが、SPANDAU BALLETは売上は別として、3rdアルバム以降も楽曲のクオリティを維持することのできた稀有なバンドである。 このアルバムは、前作である3rd「TRUE」の大ヒットの煽りを喰らってしまい、あまり評価されていないのだが、個人的には「TRUE」よりも収録曲の質は上だと思っている。 Gary Kemp[ゲイリー・ケンプ](guitar)という稀代のソングライターの才能が更に一歩先に進んだアルバムであり、この大人の色気が漂うアルバムこそがSPANDAU BALLETの最高傑作なのである。 |
■ 第1位
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title | COLOUR BY NUMBERS[カラー・バイ・ナンバーズ] (2nd album) |
artist | CULTURE CLUB[カルチャー・クラブ] |
released | 1983年 |
origin | London, England, UK |
comment | 全盛期のCULTURE CLUBはBoy George[ボーイ・ジョージ]の奇抜なメイクやファッションに話題が集中しすぎて、音楽性を真剣に評価される機会が少なかったのだが、彼らの音楽性を高く評価している人もいて、その1人が前述のPaul Wellerだった。 1st「KISSING TO BE CLEVER」はファンカラティーナ(ファンク+ラテン)の名盤だったが、この2ndはブルー・アイド・ソウルの名盤であり、全ての収録曲がキャッチーでシングル・カット可能な水準を持つ。 当時の英国の若手ポップ・バンドの中でも、この時期のCULTURE CLUBほど良い曲の書けるバンドは殆どいなかったのではないだろうか? 1曲目の"Karma Chameleon"のヒットが大きすぎるのだが、この曲はカントリー色が強く、アルバムの中では異色の曲である。 |
このリストを作り始めたときには全くその気はなかったのだが、結果として全て英国のミュージシャンになった。
80年代に限らず、60年代の昔から英国のミュージシャンはブルースやソウル等、ブラック・ミュージックに傾倒する人が多い。
今回取り上げた10枚はブルー・アイド・ソウルの中でも、かなりメジャーなアルバムであり、マニアックなものは入っていない。
もしかすると、第1位に選んだCULTURE CLUBの「COLOUR BY NUMBERS」、第2位に選んだSPANDAU BALLETの「PARADE」あたりはブルー・アイド・ソウルではなく、ポップ・ソングだと思っている人の方が多いのかもしれない。
しかし、筆者にとって、これらのアルバムはブルー・アイド・ソウルであり、アーティストのイメージからは結びつきにくいかもしれないが、意外なほどソウルフルなのである。
80年代の英国からは実に多くのユニークなアーティストが数多く登場したのだが、正直なところ、ポストパンク、ニュー・ウェイヴ、インディ―・ロックあたりは、50を過ぎたこの歳になってからは殆ど聴かなくなってしまった。
それに比べ、今回取り上げたような、ソウルをルーツに持つポップ・ミュージックは、ずっと聴き続けていたのだが、この歳になってから自分の中でブームが再燃し、頻繁に聴くようになった。
今後も、たぶん、聴き続けるような気がする。