■ 第10位
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title | STUTTER[スタッター] (1st album) (label: Sire, Blanco y Negro) |
artist | JAMES[ジェイムス] |
released | 1986年 |
origin | Whalley Range, Manchester, England, UK |
comment | 筆者の中でインディー・ロックというワードに対し、シナプスの如く結びつくのが、このバンドJAMESだ。 JAMES、THE SMITHS[ザ・スミス]、THE STONE ROSES[ザ・ストーン・ローゼズ]、HAPPY MONDAYS[ハッピー・マンデーズ]は、だいたい同じ時期に活動を開始したということを、これら4組のいずれかのインタビューで読んだ記憶がある。 この4組の中で、最も安定した活動を維持できたのが、JAMESという一番地味なバンドであるということは、なかなか興味深い。 演奏はとても良いのだが、Tim Booth[ティム・ブース]のヴォーカルはショボい。 それがまた、インディー・ロックっぽいのである。 |
■ 第9位
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title | 16 LOVERS LANE[16ラヴァーズ・レーン] (6th album) (label: Mushroom [AUS], Beggars Banquet [UK]) |
artist | THE GO-BETWEENS[ザ・ゴー・ビトウィーンズ] |
released | 1988年 |
origin | Brisbane, Queensland, Australia |
comment | THE GO-BETWEENSは、自分の中で不思議な存在のバンドだ。 彼らの全てのアルバムが好きなのにも関わらず、THE GO-BETWEENSというバンドやメンバーへの思い入れが全く無い。 そもそも筆者は曲最優先であり、その曲を書いているアーティストに対して感情移入することは極めて稀なのだが、THE GO-BETWEENSに対してはそれが著しい。 Grant McLennan[グラント・マクレナン]とRobert Forster[ロバート・フォスター]、この二人が書く珠玉の名曲を何も考えずに純粋にだ楽しみたいだけであり、筆者にとってのTHE GO-BETWEENSとは、そんなバンドなのである。 |
■ 第8位
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title | DARKLANDS[ダークランズ] (2nd album) (label: Blanco y Negro) |
artist | THE JESUS AND MARY CHAIN[ザ・ジーザス・アンド・メリーチェイン] |
released | 1987年 |
origin | East Kilbride, Scotland, UK |
comment | THE JESUS AND MARY CHAINが登場したときの売り文句は「SEX PISTOLS[セックス・ピストルズ]以来の衝撃!」だった。 「ほんまかいな?」思いつつ、彼らの1st「PSYCHOCANDY」を聴いたのだが、別な意味で「ほんまかいな?」だった。 まぁ、当時の筆者も、そして、現在も筆者も、パンクがよく分かっていない奴、或いは、パンクの精神性が不要な奴なので、「SEX PISTOLS以来の衝撃!」という売り文句自体が「何それ?」だったのだが... しかし、この2nd「DARKLANDS」は、1stよりも圧倒的に好きになれた。 素人の歌と演奏のようなアルバムだが、メロディー、そして、曲がとても良いのだ。 |
■ 第7位
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title | PRIMAL SCREAM[プライマル・スクリーム] (2nd album) (label: Creation) |
artist | PRIMAL SCREAM[プライマル・スクリーム] |
released | 1989年 |
origin | Glasgow, Scotland, UK |
comment | PRIMAL SCREAMの最高傑作を挙げろと言われれば、それはもちろん3rd「SCREAMADELICA」だ。 しかし、インディー・ロックという括りを設けるなら、この2nd「PRIMAL SCREAM」になってしまう。 筆者から見ると、PRIMAL SCREAMというバンドは、ロックン・ロールへの愛が有るのか無いのか、よく分からないバンドである。 たぶん、彼らのロックン・ロールへの愛は深遠過ぎて、筆者のような軽薄なロックン・ロールバカ一代では掴み切れないのだろう。 このアルバムは、PRIMAL SCREAMが最も分かり易い形でロックン・ロールへの愛を描いて見せたアルバムだ。 |
■ 第6位
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title | TIGER BAY[タイガー・ベイ] (3rd album) (label: Creation) |
artist | SAINT ETIENNE[セイント・エティエンヌ] |
released | 1994年 |
origin | Croydon, London, England, UK |
comment | SAINT ETIENNEは、インディー・ロックというよりは、インディ―・ポップなのだろうか? 筆者は英国人女性と関わったことが無いので、あくまでも想像の範囲なのだが、このグループのシンガーであるSarah Cracknell[サラ・クラックネル]は英国人女性っぽいなぁ~と感じている。 当時のSarah Cracknellには、ぜひとも、ヴィクトリア朝時代の衣装を着てシャーロック・ホームズのドラマに出演してほしかった。 そもそも筆者は、Sarah Cracknellにように、可愛らしいポップ・ミュージックにのせて、素人っぽい歌を披露する女性シンガーが好きなのである。 素人っぽい男性シンガーには辛辣になりがちな筆者なのだが、何故か素人っぽい女性シンガーには甘くなってしまうのである。 ちなみに、筆者の性別は♂なので、「だからだよっ」と言われれば、返す言葉は無い。 |
■ 第5位
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title | RANK[ランク] (live album) (label: Rough Trade [UK] Sire [US]) |
artist | THE SMITHS[ザ・スミス] |
released | 1988年 |
origin | Manchester, England, UK |
comment | 筆者は、ライヴ・アルバムはあまり好きではないのだが、THE SMITHSに関しては、どのスタジオ・アルバムよりも、このライヴ・アルバム「RANK」が彼らの最高傑作だと思っている。 初めて聴いたTHE SMITHSのアルバムは2nd「MEAT IS MURDER」だったのだが、演奏は最高にカッコ良いにも関わらず、ヴォーカルを全く受け入れることができなかった。 それは他のスタジオ・アルバムも同じで、せっかくのカッコ良い演奏が、全てMorrissey[モリッシー]のヨーデルのようなヴォーカルにぶっ壊されてしまうのである。 しかし、このライヴ・アルバムだけはMorrisseyのヴォーカルに重さと激しさと分厚さがあり、カッコ良く聴こえるのだ。 そして、このライヴ・アルバムは、Craig Gannon[クレイグ・ギャノン]がアディショナル・ギターとして参加していた時期の音源なので、Johnny Marr[ジョニー・マー]とCraig Gannon、二人のギターによりサウンドに厚みが感じられるところも良い。 ちなみに、Morrisseyが書く歌詞の意味を知ってからは、スタジオ・アルバムも楽しめるようになった。 |
■ 第4位
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title | RED ROSES FOR ME[赤い薔薇を僕に] (1st album) (label: Stiff) |
artist | THE POGUES[ザ・ポーグス] |
released | 1984年 |
origin | London, England, UK |
comment | ケルティック・パンク(パンクとケルト音楽を掛け合わせた音楽)を演奏するバンドはけっこう多いと思うのだが、やはりその最高峰はTHE POGUESだ。 ケルティック・パンクを演奏しているバンドの多くは、パンクにケルト音楽の要素を取り入れている感じだが、THE POGUESはケルト音楽をパンクのアティチュードで演奏しているように感じられる。 THE POGUESと言えば、ヒット曲の"Fairytale of New York(ニューヨークの夢)"が飛び抜けて有名なので、それが収録されている3rd「IF I SHOULD FALL FROM GRACE WITH GOD(堕ちた天使)」に人気が偏っているような気がするが、スティッフ・レコードからリリースしたこの1stや、2nd「RUM SODOMY & THE LASH(ラム酒、愛、そして鞭の響き)」も3rdに勝るとも劣らない傑作だ。 THE POGUESが気に入るようであれば、本格派のケルト音楽を演奏するバンド、THE CHIEFTAINS[ザ・チーフタンズ]を聴いてみるのも良い。 |
■ 第3位
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title | LONDON 0 HULL 4[ロンドン0ハル4] (1st album) (label: Go! Discs) |
artist | THE HOUSEMARTINS[ザ・ハウスマーティンズ] |
released | 1986年 |
origin | Kingston upon Hull, England, UK |
comment | このアルバムを一言で表すなら珠玉のメロディが詰った名曲集である。 一度再生してしまうと、途中で止めることができない。 ただ、困ったことに、このアルバム、そして、このバンドについては、それくらいしか書くべきことがないのである。 無理やり絞り出すなら「見た目がイケてない」ということくらいだろうか? それから、「LONDON 0 HULL 4」というのはサッカーのスコアのことらしい。 面白いくらいに「面白い話」が出てこないバンドだ。 単純に「メロディの良さ」、「曲の良さ」なら80年代のインディ―・ロック・バンドの中では優勝である。 |
■ 第2位
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title | THE HOUSE OF LOVE[ザ・ハウス・オブ・ラヴ] (1st album) (label: Creation) |
artist | THE HOUSE OF LOVE[ザ・ハウス・オブ・ラヴ] |
released | 1988年 |
origin | London, England, UK |
comment | クリエイション・レコーズ最大の大物と言えばMY BLOODY VALENTINE[マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン]なのだろうか? しかし、シューゲイザーというムーヴメントへの思い入れが希薄な筆者にとってのクリエイション・レコーズと言えば、THE HOUSE OF LOVEのデビュー・アルバムなのである。 このアルバムの1曲目に収録されている"Christine"を初めて聴いたときは、あまりの美しさに頭がクラクラとしたことを今でも鮮明に憶えている。 そして、更にこのアルバムは、その"Christine"と同等、或いは、それ以上名曲がぎっしりと詰っているのである。 このバンドのソングライターであるGuy Chadwick[ガイ・チャドウィック]のインタビュー映像を見たことがあるのだが、そのインタビューの中での彼は「最近の英国には好きなバンドがいない。米国のGUNS N' ROSES[ガンズ・アンド・ローゼズ]やJANE'S ADDICTION[ジェーンズ・アディクション]は良いね」と言っていた。 それを見た筆者は「ほんまかいな?君らのやっている音楽と全然違うやん!」と思ったのだが、彼の言葉が本当にしろ嘘にしろ、この当時の英国において、THE HOUSE OF LOVEというバンドが極めてユニークな存在であったことは間違いないのである。 |
■ 第1位
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title | GRAND PRIX[グランプリ] (4th album) (label: Creation, DGC) |
artist | TEENAGE FANCLUB[ティーンエイジ・ファンクラブ] |
released | 1995年 |
origin | Bellshill, Scotland, UK |
comment | TEENAGE FANCLUBというバンドを今のように愛聴することになるとは思っていなかった。 初めて買ったTEENAGE FANCLUBのアルバムは、1991年にリリースされた3rd「BANDWAGONESQUE」だった。 当時はグランジ・ムーヴメントだったので、それっぽい音を期待していたのだが、「BANDWAGONESQUE」は演奏に関してはグランジっぽさはあったものの、ヴォーカルやメロディが甘すぎて「何か違う」と感じたのだ。 ところが、数年後、何となく「BANDWAGONESQUE」を聴き直してみたところ、「えっ、こんなにえぇ曲やった?」というくらいTEENAGE FANCLUBに嵌ったのだ。 TEENAGE FANCLUBの殆どのアルバムは、どれを聴いても一定以上の曲の良さが担保されているのだが、最高傑作となると「GRAND PRIX」になるだろう。 「GRAND PRIX」とは、Norman Blake[ノーマン・ブレイク](vocals, guitar)、Raymond McGinley[レイモンド・マッギンリー](vocals, guitar)、Gerard Love[ジェラード・ラヴ](vocals, bass)という、個性の異なる3人のソングライターの魅力が最も伝わり易いTEENAGE FANCLUBのアルバムなのである。 |
「以前、好きなニュー・ウェイヴのアルバム10選」と「好きなポストパンクのアルバム10選」を書いたときに、ニュー・ウェイヴとポストパンクとインディー・ロックの違いがよく分からないと書いたが、今回は積み残していた「好きなインディー・ロックのアルバム10選」を書いてみた。
インディー・ロックから10枚選ぶのは、ニュー・ウェイヴやポストパンクから10枚選ぶよりも難しくはなかった。
今回10枚選ぶにあたり、唯一設けたルールは、インディー・ロックというジャンル名のとおり、インディペンデント・レコード・レーベルからリリースされているアルバムに限定した。
今回この「好きなインディー・ロックのアルバム10選」を書いたところ、面白い発見があった。
それは、筆者がインディー・ロックだと思って聴いていたアルバムの多くが、実はメジャー・レーベルからリリースされていたことだ。
例えば、Lloyd Cole & THE COMMOTIONS[ロイド・コール&ザ・コモーションズ]の1st「RATTLESNAKES」やTHE WATERBOYS[ザ・ウォーターボーイズ]の1st「THE WATERBOYS」はメジャー・レーベルからのリリースだった。
インディー・ロックというジャンル名も、インディペンデント・レコード・レーベルからリリースされていることが絶対ではなく、雰囲気ものなのだろう。