以前、QUEENSRYCHE〔クイーンズライク〕の3rdアルバム「OPERATION: MINDCRIME」を取り上げた時に、「このアルバムは学生時代に同じアルバイト先に勤務していたU君から教えてもらった」と書いた。
当時(1980年代後半)の筆者は、プログレッシヴ・ロックもヘヴィ・メタルも既に愛聴していたのだが、その二つが融合したプログレッシヴ・メタルについては全く知識が無かった。
「OPERATION: MINDCRIME」にド嵌まりして、プログレッシヴ・メタルに興味を持つようになった筆者に対し、U君は「更にもう一枚」ということで、DREAM THEATER〔ドリーム・シアター〕の1stアルバム「WHEN DREAM AND DAY UNITE」も貸してくれた。
U君の確かな教育(或いは洗脳)のおかげで、筆者は立派なプログレッシヴ・メタル・マニアになれた訳である。
そして、ここから先は独り立ちである。
自分でもヘヴィ・メタル雑誌BURRN!を読み込んでプログレッシヴ・メタルを研究するようになり、どうやらFATES WARNING〔フェイツ・ウォーニング〕というバンドが凄いらしいということが判ってきた。
そこで思い切って当時の彼らの最新作、5thアルバムの「PERFECT SYMMETRY」を購入したところ、これが大当たりだった。
そして、その2年後に発表されたのが今回取り上げた6thアルバムの「PARALLELS」であり、今でも個人的に彼らの最高傑作だと思っている作品である。
このアルバムを簡潔に表すなら、「寸分の隙もない完成品」である。
このアルバムには、もう何も足すことも引くこともできない。
正にプログレッシヴ・ロックとヘヴィ・メタルの完璧な調和である。
こう書くと、人間らしい温もりが無いように感じられるかもしれないが全くそんなことはない。
喜びも悲しみも含めた人間の複雑な感情の全てを詰め込んだ歌声とメロディは聴く者の心を揺さぶる。
FATES WARNINGも含めて、プログレッシヴ・メタルのバンドに共通しているのは、一般的な米国のバンドのイメージとは異なる緻密に構築されたその音作りである。
プログレッシヴ・メタルはとりわけ日本での人気が高いジャンルだと聞く。
こういう緻密さを備えたハードなロックのルーツを辿ると、たぶんRitchie Blackmore〔リッチー・ブラックモア〕に行きつくのだろう。
Ritchie Blackmoreの日本での人気の高さを考えると、プログレッシヴ・メタルが日本で受ける理由が解かる気がする。