ゴシック・アンド・ロリータ(通称、ゴシック・ロリータ、ゴスロリ)と言われるファッションの原点がどこにあるのかについて、筆者はその歴史に全く明るくない人間だが、1985年に1stアルバムをリリースしたSTRAWBERRY SWITCHBLADE〔ストロベリー・スウィッチブレイド〕のファッションを今改めて見てみるとゴスロリのように見える。
当時はまだゴスロリという言葉は無かったと記憶しているのだが、ロックの世界ではポストパンクから派生したゴシック・ロックというジャンルが既に成立しており、SIOUXSIE & THE BANSHEES〔スージー&ザ・バンシーズ〕、JOY DIVISION〔ジョイ・ディヴィジョン〕、BAUHAUS〔バウハウス〕、THE CURE〔ザ・キュアー〕、CHRISTIAN DEATH〔クリスチャン・デス〕等がその代表的なバンドだと言えるだろう。
STRAWBERRY SWITCHBLADEのRose McDowall〔ローズ・マクドゥール〕とJill Bryson〔ジル・ブライスン〕の二人のファッションは、ゴシック・ロックを可愛らしくガーリーにアレンジしてみたら、たまたま今のゴスロリに通ずる容姿になったのだろう。
今回取り上げたSTRAWBERRY SWITCHBLADEの1stアルバム「STRAWBERRY SWITCHBLADE」は、中学生の頃にレンタルレコード店で借りてカセット・テープに録音し、テープが伸びて音質が劣化するほど聴きまくった作品である。
このアルバムも現在ではAmazon Music Unlimitedで聴けるので最近よく聴いているのだが、聴く度にノスタルジアが刺激され、過ぎ去った時代への想いが溢れ出してしまい、何だかとても困っている。
女の子のデュオと言うと、何となくプロデューサーやマネジメントの操り人形のようなイメージを持たれるかもしれないが、楽曲は彼女たち自身のペンによるもので、そのソングライティング・センスはけっこう達者だ。
英国スコットランドはグラスゴー出身というバックグラウンドが先入観になっているのかもしれないが、どこかAZTEC CAMERA〔アズテック・カメラ〕やORANGE JUICE〔オレンジ・ジュース〕に通ずるネオアコ的なテイストがそこはかとなく漂っている。
しかし、楽曲の土台はエレポップであり、1980年代という時代性を強く感じさせる打ち込みをバックに、あまり上手くないがとても可愛らしい女の子のヴォーカルとコーラスが乗る楽曲は今聴いてもなかなか斬新である。
昨日、TEENAGE FANCLUBの「GRAND PRIX」を取り上げた時に"Don't Look Back (振り返るな)"という曲が良いと書いた翌日であるにも関わらず、いきなり過去を振り返り想い出に浸るような作品を聴いている自分は本当にダメ人間だなと感じている。
歳のせいにはしたくないのだが、50に手が届くようになってから、過去を、それも自分が良い時代だったと思っていた頃の過去を振り返ることが増えた。
これは少しまずい傾向である。