「ロックン・ロール・プリズナーの憂鬱」というブログ・タイトルを付けていながら、全くロックン・ロールとは無関係なアーティストの作品もけっこう取り上げてしまっている。
そもそもは自分の最も好きな音楽ジャンルであるロックン・ロールについての文章を書こうと思って始めたブログなのだが、書き始めて直ぐに自分が無節操に色々なジャンルの音楽を聴きまくる人間だと気付き、看板に偽り有りのブログとなってしまった。
「無節操に色々なジャンルの音楽を聴きまくる」と書いたが、冷静に考えてみると実はけっこう偏った聴き方をしている。
どのように偏っているのかと言うと、聴いている音楽の殆ど(90%くらいか?)が英国と米国の音楽なのである。
英国と米国以外では、アイルランド、カナダ、オーストラリア、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド等のアーティストのレコードやCDも持ってはいるが、ヴォーカル入りの曲の場合、いずれも英語を母国語としてている国の曲か、そうでは無い場合でも英語で歌っている曲ばかりである。
今回取り上げた孫燕姿〔スン・イェンツー〕の9thアルバム「逆光」は、そんな筆者が持っている数少ない英語以外で歌っている曲が詰められたCDだ。
孫燕姿とは、中華民国(台湾)を活動拠点とし、北京語で歌うシンガポール出身の女性アーティストである。
筆者は2007年~2008頃、仕事で中国の某都市に出張することが多かったのだが、孫燕姿のことはその時に知った。
実は、この時期を境に筆者はメンタルをやられ、人生が上手く行かなくなり始めた。
宿泊していたホテルでぼんやりと言葉の解らないテレビを見ている時、このアルバムに収録されている"我怀念的"という曲を偶然に聴き、何故か猛烈にこの曲に魅かれた。
失恋を歌ったシンプルなバラードなのだが、華奢な身体から絞り出すように歌われる彼女のヴォーカルが、異国の地で寂しく過ごしていた筆者の心を癒してくれたのである。
早速、翌日、通訳さんに付き合ってもらい、この曲"我怀念的"が収録されているアルバム「逆光」を買いに行った。
当時、崩れ始めていた筆者のメンタルは、このアルバムにより少しだけ救われたのである。