#0186でChris Rea〔クリス・レア〕の「ON THE BEACH」を取り上げたが、そのChris Reaがスライド・ギターで参加しているという繋がりで今回取り上げるDEACON BLUE〔ディーコン・ブルー〕の1stアルバム「RAINTOWN」を思い出した。
DEACON BLUEは彼らの祖国である英国では国民的バンドとして絶大な人気を得ているが、日本では殆ど知られていないようで、筆者もこのバンドが好きだという人には会ったことがない。
アルバム・タイトルの「RAINTOWN」は彼らの出身地であるスコットランドはグラスゴーのことらしいのだが、グラスゴーとは降水量の多い都市なのだろうか?
ただ、このアルバムに収録されている曲を聴いていると「RAINTOWN」、「雨の街」というタイトルがやけに嵌っていることに気付く。
DEACON BLUEの音楽性は、R&Bをベースにしたポップ・ロックであり、かなりお洒落な感触がある。
リード・ヴォーカルのRicky Ross〔リッキー・ロス〕とバッキング・ヴォーカルのLorraine McIntosh〔ロレイン・マッキントッシュ〕が織りなす男女ツイン・ヴォーカルは美しく、そのヴォーカルをこれでもかとばかりに盛り上げるメロウな演奏を聴いていると自分も彼らの故郷のグラスゴーに来ているかのような錯覚を覚える。
一聴すると単なるお洒落なBGMに聴こえなくもないのだが、お洒落なBGMとして使うにはちょっと暗すぎる。
このアルバムの収録曲の全てに共通しているのが、「薄っすらとした物悲しさ」であり、それがこのバンドを英国の国民的バンドに押し上げた要因の一つなのだろう。
先ほど、「お洒落なBGMとして使うにはちょっと暗すぎる」と書いたが、実はこのバンド、歌詞もけっこう暗い。
今回取り上げた「RAINTOWN」収録の"He Looks Like Spencer Tracy Now"は第二次世界大戦における広島への原爆投下という重たい問題をテーマにした曲であり、お洒落な曲調とは裏腹に社会派としての一面もある。
他にも「失業」や「英国の地方都市が抱える問題」等が扱われていたり、ラヴ・ソングも悲しい結末に向かうようなテーマが扱われていたりという具合に、とにかく暗い。
しかし、そんな暗さの中に、ほんの少しだけ希望の灯が見える時があり、このアルバムを聴く者はそれで少し数われるのである。