#0206) VOICE OF AMERICA / Little Steven 【1984年リリース】

f:id:DesertOrchid:20190602134752j:plain

 

ロック界のソロ・アーティストには右腕と呼べるような存在が寄り添っていることがある。


そして、時にはその右腕が主役を喰ってしまうほど目立つことがある。


例えば、筆者は初めてBilly Idol〔ビリー・アイドル〕のシングル"Rebel Yell"のミュージック・ヴィデオを見た時、主役であるBilly Idol本人よりも、その傍らでギターを弾いている「ド派手なカッコ良い男」のインパクトが大きすぎて、Billy Idolよりも、その「ド派手なカッコ良い男」の方が気になって仕方がなかった。


後にその「ド派手なカッコ良い男」がSteve Stevens〔スティーヴ・スティーヴンス〕であることを知るのだが、ロック界には時折、こういう主役の右腕でありながら主役を喰ってしまうバック・バンドのミュージシャンがいるのである。


グラム・ロック時代のDavid Bowieデヴィッド・ボウイ〕のバック・バンドTHE SPIDERS FROM MARS〔ザ・スパイダーズ・フロム・マーズ〕のギタリストだったMick Ronson〔ミック・ロンソン〕も同じく主役の右腕でありながら主役を喰う存在だと言えるだろう。


今回取り上げるSteven Van Zandt〔スティーヴン・ヴァン・ザント〕も、主役であるBruce Springsteenブルース・スプリングスティーン〕の右腕でありながら、時に主役を喰ってしまう派手な男だと言える。


Steven Van Zandtは、Little Steven〔リトル・スティーヴン〕やMiami Steve〔マイアミ・スティーヴ〕の二つ名で知られるギタリストだ。


そのキャリアは、Bruce Springsteenのバック・バンドであるE STREET BAND〔Eストリート・バンド〕のメンバーとして、或いは、Southside Johnny〔サウスサイド・ジョニー〕に多くの楽曲を提供したソングライターとして著名だ。


今回取り上げたのはそんな彼の2ndアルバム「VOICE OF AMERICA」である。


Little Steven名義でリリースされ、収録曲の全ては彼によって書かれ、演奏は彼のバック・バンドであるTHE DISCIPLES OF SOUL〔ザ・ディサイプルズ・オブ・ソウル〕が担当している。


ロックン・ロールはもちろん、ソウルやR&B、そして時にはレゲエまでもが飛び出す幅広い音楽性は実に味わい深く、このアルバムを一枚聴くだけでSteven Van Zandtというアーティストの懐の深さが見えてくる。


この懐の深さ故、彼はボスやSouthside Johnnyから大きな信頼を得られる存在に成り得たのだろう。