今回取り上げているSODOM〔ソドム〕は、KREATOR〔クリーター/クリエイター〕、DESTRUCTION〔デストラクション〕と合わせてジャーマン・スラッシュ三羽烏と呼ばれている。
ただし、これは米国のスラッシュ・メタル四天王(The Big 4)のように世界的に知られた呼び方ではなく日本独自の呼び方であり、彼らの本国であるドイツでは上記の3バンドにTANKARD〔タンカード〕を加えてThe Big Teutonic Four〔ザ・ビッグ・テュートニック・4〕と呼ばれている。
確かにTANKARDも個性的で良いバンドだが彼らの「イカれた酔っ払い」的なスタイルは、SODOM、KREATOR、DESTRUCTIONが醸し出すダークな雰囲気とは趣を異にするため、筆者としてはThe Big Teutonic Fourよりも三羽烏の方がピンとくるのである。
三羽烏はいずれのバンドも解散することなく、このブログを書いている2019年9月現在まで活動を続けているのだが、正直なところ筆者が三羽烏を聴いていたのは1990年頃までだ。
従って今回の主役であるSODOMのアルバムから1枚取り上げるとなると、必然的に初期の作品に偏るわけであり、そうなると迷うことなく3rdアルバムの「AGENT ORANGE」となるのである。
2ndアルバムの「PERSECUTION MANIA」も力作であり、1stアルバムの「OBSESSED BY CRUELTY」で聴ける危なっかしい演奏も捨てがたいのだが(と言いつつも、1stの荒すぎる演奏は聴いていて少々辛くなる時もあるのだが)、やはり「SODOMで1枚」となると「AGENT ORANGE」の完成度に軍配が上がる。
三羽烏はいずれのバンドもSLAYER〔スレイヤー〕から多大な影響を受けているのだが、SODOMの場合、SLAYERと同じくらいか或いはそれ以上にMOTORHEAD〔モーターヘッド〕からの影響が大きい。
SODOMの曲はスラッシュ・メタルでありながら、MOTORHEAD譲りのロックン・ロール感があり、それをSODOM流のオリジナリティで完成させたアルバムが「AGENT ORANGE」なのである。
このアルバムではMOTORHEADの弟分と言われていたロックン・ロール色の強いヘヴィ・メタル・バンドTANK〔タンク〕の"Don't Walk Away"もカヴァーしており、その辺りからもSODOMというバンドのロックン・ロールのへの拘りを窺い知ることができる。
そもそも、この「AGENT ORANGE」のアルバム・カヴァーがTANKの大名盤「HONOUR & BLOOD」に何となく似ている(もしかしてオマージュ?)。
久しぶりに「AGENT ORANGE」を聴いてみたのだが、SODOMの新しいアルバムも聴いてみたくなった。