1970年代における英国の3大ハード・ロック・バンドと言えばLED ZEPPELIN〔レッド・ツェッペリン〕、DEEP PURPLE〔ディープ・パープル〕、BLACK SABBATH〔ブラック・サバス〕である。
筆者にとっては3つとも大好きなバンドであり、当ブログではLED ZEPPELINとDEEP PURPLEは既に取り上げているので、今回はBLACK SABBATHを取り上げることにした。
LED ZEPPELINやDEEP PURPLEを取り上げた時にも思ったのだが、こういうレジェンド中のレジェンドのような偉大なバンドについて、今更何か書くことがあるのかなという気もする。
筆者が初めて聴いたBLACK SABBATHの曲はレコードではなく、テレビのプロレス中継だった。
何故なら、1980年代中期に人気を博した米国のプロレス・タッグチームTHE ROAD WARRIORS〔ザ・ロード・ウォリアーズ〕の入場曲がBLACK SABBATHの"Iron Man"だったからだ。
Tony Iommi〔トニー・アイオミ〕が鳴らす重苦しいイントロのギター、一発でその場の空気を不穏な色に変えてしまうこの曲は、当時、中学生だった筆者に凄まじいインパクトを与えたのである。
ヘヴィ・メタルのルーツは諸説あると思うのだが、やはり、BLACK SABBATHこそがヘヴィ・メタルの始祖であり、その後、派生していくドゥーム・メタル、ストーナー・メタル、ゴシック・メタル等、暗黒感漂うロック・ミュージックの源流であると言っても、それに反論するロック・ファンは、そう多くはないだろう。
ヘヴィ・メタルのルーツという意味でも、今回は1stアルバムの「BLACK SABBATH」を取り上げようと思っていたのだが、「BLACK SABBATH」は1曲目に収録されている"Black Sabbath"が極端にドゥーミーな曲であり、「全てはここから始まった」と言うべき曲なのだが、その他の収録曲は意外と古典的なブルース・ロックだったりする。
それ故、今回取り上げるのは1枚丸ごとドゥーミーな空気感に満ちた2ndアルバムの「PARANOID」を取り上げることにした。
「PARANOID」にはBLACK SABBATHの代名詞とも言える"War Pigs"や"Paranoid"が収録されているし、何よりも"Iron Man"が収録されているのが魅力的だ。
BLACK SABBATHの凄いところは、これほどドゥーミーでデモーニッシュな曲を書きながら、キャッチーでポップなところだ。
「PARANOID」は、そんなBLACK SABBATHの個性が確立された作品であり、彼らがロックのレジェンドとなることが約束された瞬間なのである。