1980年代後半から1990年代前半にかけて活動したデトロイトのガレージ・ロック・バンドTHE GORIES〔ザ・ゴーリーズ〕が解散し、Mick Collins〔ミック・コリンズ〕が結成したバンドがTHE DIRTBOMBS〔ザ・ダートボムズ〕、そして、Dan Kroha〔ダン・クロハ〕が結成したバンドが今回取り上げてるDEMOLITION DOLL RODS〔デモリション・ドール・ロッズ〕だ。
THE DIRTBOMBS、DEMOLITION DOLL RODS、共にTHE GORIESの遺伝子を受け継ぐガレージ・ロック・バンドなのだが、DEMOLITION DOLL RODSはTHE GORIESと同じベースレスの3ピースバンドである。
このDEMOLITION DOLL RODSというバンドをご存じでなければ、ぜひ、ググって彼ら(彼女ら)のグループ写真を見て頂きたい。
このバンド、メンバー全員が、ほぼ裸である。
裸になるロック・ミュージシャンと言えば、例えばIggy Pop〔イギー・ポップ〕、Glenn Danzig〔グレン・ダンジグ〕、Henry Rollins〔ヘンリー・ロリンズ〕等、逞しくビルドアップされた身体を持つ人が多い。
しかし、DEMOLITION DOLL RODSの場合、男×1+女×2の3ピースバンドなのだが、男はガリガリ、女はポッチャリという体形であり、所謂美しい裸ではない。
そんな3人が裸で演奏するガレージ・ロックは、なかなかシュールな面白さがあるので、動いている彼らの姿は一見の価値がある。
こう書いてしまうと、DEMOLITION DOLL RODSがコミック・バンドであるかのように誤解されてしまいそうだが、音楽的にはかなり正統派のガレージ・ロックであり、映像無しで音楽だけを聴いても十分にカッコ良いバンドだ。
2000年代以降の米国におけるガレージ・ロック・バンドの代表と言えば、商業的な成功や後に与えた影響という意味合いにおいてもTHE STROKES〔ザ・ストロークス〕とTHE WHITE STRIPES〔ザ・ホワイト・ストライプス〕の二つを挙げるのだが妥当なのだろう。
もちろん筆者もこの二つのバンドはよく聴いていたのだが、それ以上によく聴いていたのがDEMOLITION DOLL RODSやTHE DIRTBOMBSだった。
DEMOLITION DOLL RODSのアルバムはどれを聴いてもそれほど大きな違いは無いのだが、取っ付きやすいキャッチーさを持つという点では3rdアルバムの「ON」をお勧めしたい。
ただし、音楽をあまりにも真面目に捉えすぎる人に対しては、DEMOLITION DOLL RODSはちょっとお薦めし難いバンドでもある。