米国のインダストリアル・メタルにおける2大巨頭はMINISTRY〔ミニストリー〕とNINE INCH NAILS〔ナイン・インチ・ネイルズ〕だが、MARILYN MANSON〔マリリン・マンソン〕とRob Zombie〔ロブ・ゾンビ〕も2大巨頭に匹敵する存在だ。
MINISTRYのAl Jourgensen〔アル・ジュールゲンセン〕と他の3人、つまり、NINE INCH NAILSのTrent Reznor〔トレント・レズナー〕、Marilyn Manson、Rob Zombieの間には世代的に開きがあるが、この4人を米国インダストリアル・メタルの四天王と呼んでもいいのかもしれない。
今回取り上げているRob Zombieは、言わずと知れたインダストリアル・メタル・バンドWHITE ZOMBIE〔ホワイト・ゾンビ〕を率いていた人物だ。
「HELLBILLY DELUXE」は、Rob Zombieがソロ・アーティストとしてリリースした最初のアルバムであり、この一枚がWHITE ZOMBIEを遥かに超える成功を修めたことにより、Rob ZombieはWHITE ZOMBIEを解散させ、本格的にソロ・アーティストとしての活動を開始することになった。
やはり、ソロでの成功の手ごたえを掴むと、バンドというものは、長く続ければ続けるほど足かせになってしまうのかもしれない。
下世話な話だが、バンドでやる以上、分け前は減るわけだし、固定された人間関係を維持するというのもストレスになりそうだ。
音楽的にも、他のメンバーから、あーだこーだ言われることなく、自分の理想を形にし易いはずである。
もちろん、レコード会社からの要望や、プロデューサーの意見もあるので、100%とは言えないのかもしれないが。
Rob Zombieというアーティストは、インダストリアル・メタルというジャンルの中では、ずば抜けてキャッチーな曲を作る人物である。
ソロとしてリリースしたこのアルバムからはRob Zombieのキャッチーな部分がWHITE ZOMBIEの頃より顕著になっており、中には東洋風の旋律が感じられる曲もあり、単純にインダストリアル・メタルとは言い切れない側面もある。
もしかすると、Rob Zombieの曲は筋金入りのインダストリアル・メタル・マニアからすると、キャッチーすぎて物足りないのかもしれない。
むしろ、よく言われるように、Rob Zombie とは、Alice Cooper〔アリス・クーパー〕やKISS〔キッス〕等のショック・ロック、或いは、T. REX〔T・レックス〕や初期David Bowie〔デヴィッド・ボウイ〕等のグラム・ロックを、1990年代のスタイルで蘇らせたアーティストなのかもしれない。