Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0377) THUNDER IN THE EAST / LOUDNESS 【1985年リリース】

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#0367VOW WOW[ヴァウワウ]を取り上げた時に、「1980年代当時、海外で活動しながら、一定以上の評価を得ていた日本のロック・バンドと言えば、LOUDNESSラウドネス]と、VOW WOWの二組だけだったのではないだろうか」と書いた。


このブログを書いている2020年現在では、海外で活躍している日本のロック・バンドも少なからず存在する。


しかし、SNSはもちろんのこと、一般市民が簡単に利用できるインターネットすら無かった当時、日本のロック・バンドが世界を相手に戦いを挑むというのは正気の沙汰では無かったのである。


そもそも、日本のロック・バンドなど世界から全く相手にされていない時代、否、もしかすると日本にロック・バンドが存在することすら知られていなかった時代に、VOW WOWとLOUDNESSは世界から一定以上の評価を得ていたのだ。


この二つのバンドの功績の大きさは、今のように、気軽に楽曲や演奏を動画配信サイトにアップロードし、簡単に世界の人から見てもらえるチャンスのある現在の尺度では計り知れないものがあると言えるだろう。


今回取り上げているLOUDNESSの5thアルバム「THUNDER IN THE EAST」は、アトランティック・レコードとの契約を得た彼らが、明確に世界進出を意図して制作したアルバムであり、筆者が初めて聴いたLOUDNESSのアルバムである。


このアルバムがリリースされた1985年の筆者は高1だったのだが、とにかく、このアルバムには度肝を抜かれた記憶がある。


このアルバムを聴く前にも、日本のロック・バンドのアルバムを聴いたことはあったのだが、大抵の場合、当時の日本のロック・バンドには歌謡曲っぽい歌メロが付きものだった。


これについては、まだロック・シーンが確立されていなかった当時の日本では、ロック・バンドも歌謡曲のリスナー層も巻き込まなければならなかったという事情もあると思うのだが、日本人がロックをやろうとする時にどうしても出てしまう隠しきれない個性でもあると筆者は思っていたのである。


しかし、LOUDNESSの曲には歌謡曲っぽさは微塵もなく、英米ヘヴィ・メタル・バンドと比べても全く遜色が無いことに当時の筆者は度肝を抜かれたのだ。


度々ダサいと言われる旭日旗のようなアルバム・カヴァーにしても、日本のロック・バンドが世界に戦い挑むには、これ以上無いくらいにピッタリのデザインなのである。