#0408でTHE SOUP DRAGONS[ザ・スープ・ドラゴンズ]を取り上げた時に、「マンチェスター出身ではないのに、マッドチェスターっぽいサウンド」と書いたが、今回取り上げているNEW FAST AUTOMATIC DAFFODILS[ニュー・ファスト・オートマティック・ダフォディルズ](以下、New FADS)は、マッドチェスター・ムーヴメントの頃にデビューしたマンチェスター出身のバンドでありながら、マッドチェスターらしくないサウンドなのである。
そもそも、New FADSの知名度は、マッドチェスター御三家であるTHE STONE ROSES[ザ・ストーン・ローゼズ]、HAPPY MONDAYS[ハッピー・マンデーズ]、INSPIRAL CARPETS[インスパイラル・カーペッツ]と比べると著しく低いので、そんなバンドを取り上げて「マッドチェスターらしくない」という話を記事にしたところで、何の面白みもないのかもしれない。
それにも関わらず、何故New FADSを取り上げるのかと言うと、ただ単に筆者がこのバンドの1stアルバム「PIGEONHOLE」を気に入っているからだ。
このアルバムで聴けるNew FADSの音楽性は、所謂「ダンスとロックの融合」なので、そこだけに焦点を当てるとマッドチェスターということになるのかもしれないが、このバンドの「ダンスとロックの融合」は、他のマッドチェスター系のバンドとは根っこの部分が違っているように思えてならない。
マッドチェスターというと、バギーパンツを履いてマラカスを振って踊り狂うという、享楽的なイメージがあるのだが、New FADSの音楽性には享楽的なイメージが無い。
マッドチェスター系バンドの曲はしなやかなリズムを持つものが多いのだが、New FADSが刻むリズムは非常に硬質であり、享楽的に踊り狂えるものではないである。
多くのマッドチェスター系バンドのレコードは、ドラムスを構成する打楽器の音をあえてボヤっとさせて録音していることが多いのだが、New FADSはドラムス構成する打楽器の音をかなりカッチリと録音している印象を受ける。
そして、New FADSの曲のリズムは、ドラムスよりもパーカッションの方が目立つことが多い。
正直なところ、筆者は上記したような典型的なマッドチェスター風の享楽的なリズムが少し苦手だ。
今でも時々聴く、マッドチェスター系のバンドは、THE STONE ROSES、THE SOUP DRAGONS、そして、New FADSであり、何故この3つのバンドを聴くのかと考えてみたのだが、やはり、単純に曲がカッコ良いからに他ならないのである。