Bauhaus[バウハウス]
origin: Northampton, England, U.K.
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1st | 1980/11/03 | In the Flat Field [暗闇の天使] |
本人たちは、そう呼ばれることを嫌がってるが、紛れもなくゴシック・ロックの元祖だ。 凄まじいカリスマ性を放つシンガーの Peter Murphy に注目が集まりやすいバンドだが、緊張感に圧殺されそうな楽器隊の奔放な演奏も凄い。 特に、Daniel Ash のノイズと音楽の狭間のようなギターは唯一無二だ。 |
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2nd | 1981/10/16 | Mask [マスク] |
ゴスのテイストは残っているが、デビュー・アルバムと比較すると、格段に音楽的な曲が増えており、良い意味でデビュー・アルバムの暗黒感が薄まっている。 Bauhaus のディスコグラフィーでは、最もキャッチーなアルバム。 デビュー・アルバムよりも、これを Bauhaus の最高傑作と言う人も多い。 |
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3rd | 1982/10/22 | The Sky's Gone Out [ザ・スカイズ・ゴーン・アウト] |
エクスペリメンタルでありながら、キャッチーでもあり、複雑なのに聴きやすいという、奇跡的なアルバム。 Eno のカヴァー曲 "Third Uncle" は、David J (ba) と Kevin Haskins (ds) による性急なリズムが最高だ。 現在は別作品となっているライヴ・アルバム Press the Eject and Give Me the Tape は、元はこのアルバムのボーナス・ディスクだった。 |
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4th | 1983/02/15 | Burning from the Inside [バーニング・フロム・ジ・インサイド] |
Peter Murphy (vo) が病気療養中の間に、Daniel Ash (gt) と David J (ba) のヴォーカルでレコーディングを進めるという、まさか?のアルバム(もちろん Peter が歌っている曲もある)。 後に楽器隊メンバーが結成する Love and Rockets 風のアコースティック・サイケな曲もある。 美しいのだが、強烈に「終わり」を感じさせるアルバムだ。 |
Echo & the Bunnymen[エコー&ザ・バニーメン]
origin: Liverpool, England, U.K.
No. | released | title | cover | comment |
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1st | 1980/07/18 | Crocodiles [クロコダイルズ] |
今、改めて、このデビュー・アルバムを聴くと、へそ曲がりな英国の評論家から絶賛されたのは理解できるものの、一般リスナーからも絶大な人気を得られたことが不思議で仕方がない。 ポップ・ミュージックらしい予定調和を排除し、自らのアートを極めた音には神々しい輝きがある。 特に 凍てつく夜を切り裂くような Will Sergeant のリヴァーブの効いたギターが最高だ。 |
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2nd | 1981/05/30 | Heaven Up Here [ヘヴン・アップ・ヒア] |
このアルバムを初めて聴いたときから、もう40年くらい経つのだが、メンバー4人が佇む美しいカヴァーを見るだけで、彼らの奏でる寂寥感溢れる演奏が聴こえてきそうで鳥肌が立つ。 単に完成度の高さを求めるなら 3rd か 4th なのだが、この 2nd には当時の彼らだけが持つ魔法がかけられている。 曇天を切り裂くような鋭利なギター、その裂け目から差す薄明りのようなメロディー、完璧である。 |
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3rd | 1983/02/04 | Porcupine [ポーキュパイン (やまあらし)] |
オープニング曲 "The Cutter" のイントロがバグパイプっぽくて、初っ端から意表を突かれる。 商業的に最も成功したアルバムらしいのだが、確かに 2nd で追求した思い詰めたような内省は若干影を潜め、僅かながらメインストリームのロックあるいはポップ・ミュージックへの接近が試みられている。 ただし、そこはやはり「エコバニ」であり、ヒリヒリとしたとした緊張感は微塵も失われていない。 |
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4th | 1984/05/04 | Ocean Rain [オーシャン・レイン] |
ラピスラズリのようなディープ・ブルーのカヴァーは、そのまま、このアルバムの世界観を表しており、これほどカヴァーと曲のイメージが一致しているアルバムは、なかなか無いのではないだろうか? そして、そのタイトルが Ocean Rain って...付けた人、天才やん! 成熟という次の段階への始まりを感じさせるアルバムであると共に、到達点を感じさせるアルバムでもある。 |
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5th | 1987/07/06 | Echo & the Bunnymen [エコー&ザ・バニーメン] |
当時、U.K. 出身の多くのポストパンク/ニュー・ウェイヴ系バンドは、U2 の米国での成功を意識しており、Echo & the Bunnymen も、その例外ではなく、このアルバムは米国での成功を狙って制作されている。 結果としては、彼らの特徴である怜悧な切れ味が削がれてしまっており、成功したとは言い難い。 しかし、今改めて聴くと曲の完成度は高く、解散~再結成前では、緊張せずに聴ける唯一のアルバムである。 |
Killing Joke[キリング・ジョーク]
origin: Notting Hill, London, England, U.K.
No. | released | title | cover | comment |
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1st | 1980/10/00 | Killing Joke [黒色革命] |
インダストリアル・ロックの始まりについては諸説あるが、後の Ministry や Nine Inch Nails へと繋がる系譜は Killing Joke から始まったと言っても差し支えないだろう。 文字通りindustrial(工業)を連想させるような、固く冷ややかな音である。 特に Geordie Walker の無機質でノイジーなギターが後のインダストリアル・ロックに与えた影響は計り知れない。 |
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2nd | 1981/06/00 | What's THIS For...! [リーダーに続け] |
この時代のポストパンク/ニュー・ウェイヴ系バンドは、エスニックとかトライバルとか呼ばれるリズムを取り入れるのが流行っていたのだが、このアルバムもその一つだろう(Paul Ferguson のドラムが神懸っている)。 その効果なのか、粗削りだった前作に比べると、個々の曲が緻密に構築されているように聴こえる。 筆者は 1st 派だが、リズムに華があるので、こちらを最高傑作に推す人も多い。 |
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3rd | 1982/07/00 | Revelations [神よりの啓示] |
この時期、Jaz Coleman (vo/key) と Geordie Walker (gt) がアイスランドに渡り、当地でオカルトに傾倒するという怪しげな行動をしていおり、その訳が分からなさが作風にも影響している。 前2作で示した破壊力のあるインダストリアル・ロックは影を潜め、掴みどころのない音になった。 オカルトみないなものには本気で傾倒せず、Black Sabbath のようにポーズとして利用すべきなのだろう。 |
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4th | 1983/07/00 | Fire Dances [ファイアー・ダンス] |
Jaz (vo/key) と Geordie (gt) がアイスランドから英国に帰国して制作された、ちょっと呪術的な 4th アルバム。 何故か Youth (ba) が脱退し、後任は The Dogs D'Amour の Tyla とバンドを組んでいた Paul Raven で、彼は後にインダストリアル・メタルの大御所 Ministry や Prong に参加する名ベーシストだ。 前作のような掴みどころのなさは後退し、次作に通じるキャッチーな曲もあり、バンドの状態がは確実に復調している。 |
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5th | 1985/02/00 | Night Time [暴虐の夜] |
過去最高にキャッチーなアルバム(ただし、次作、次々作では更にキャッチーになるのだが)。 インダストリアル・ロックの神髄を知りたいのであれば、最初に聴くべきは 1st アルバムなのだが、ある程度は音楽的で且つロック的なメロディーも欲しいのであれば、このアルバムから入るのもありだ。 「殺生」と「冗談」という相反する単語を並べたバンド名の如く、彼らの音楽性は振り幅が大きいのである。 |
The Psychedelic Furs[ザ・サイケデリック・ファーズ]
origin: London, England, U.K.
No. | released | title | cover | comment |
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1st | 1980/03/07 | The Psychedelic Furs [サイケデリック・ファーズ] |
The Psychedelic Furs という名前ほどサイケ感はなく、同時代のネオ・サイケデリア系ハンドとは一線を画す。 サックス奏者を含む6人組というバンド編成はデビュー当時の Roxy Music を彷彿させるのだが、実際、このバンドの一捻りも二捻りもしたポップ・ロックは Roxy Music からの影響もありそうだ。 ただし、シンガーの Richard Butler は、Bryan Ferry ではなく David Bowie からの影響が大きい。 |
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2nd | 1981/05/15 | Talk Talk Talk [トーク・トーク・トーク] |
デビュー・アルバムの音はモノクロームな印象があったが、この 2nd の音は4色カラー印刷になった印象がある。 この後、3rd から 4th にかけて、ポップ路線に舵を切ることになるのだが、既にその萌芽を見出すことができる。 1986年公開の米国の映画『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』の脚本は、本作収録の "Pretty in Pink" にインスパイアされて書かれているのだが、曲を元にして映画が制作されるというのは珍しいパターンなのではないだろうか。 |
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3rd | 1982/09/21 | Forever Now [フォーエヴァー・ナウ] |
元来、メインストリームに打って出ることができるくらい「花のある楽曲」を書けるバンドだったが、この 3rd では明確にメインストリームへの進出を意識して楽曲を制作している印象がある。 ただし、これまでのファンを捨てるほどの変化ではなく、その辺りのバランスの取り方が上手い。 メインストリームとオルタナティヴの比率は 4:6 という感じだ。 |
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4th | 1984/08/24 | Mirror Moves [ミラー・ムーヴス] |
メインストリームとオルタナティヴの比率を 6:4 という具合に、その比率を前作と逆転させており、このバンドのイメージを壊すことなく、ギリギリまでメインストリームに接近したアルバムだ。 メランコリーな曲が多いのだが、Richard Butler の少し掠れ気味の声質とマッチしていて心地よい、 Duran Duran の John Taylor が、年間のベスト・アルバムに、このアルバムを挙げていた。 |
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5th | 1987/02/02 | Midnight to Midnight [ミッドナイト・トゥ・ミッドナイト] |
このアルバムは明確に米国での成功を意識した音作りがされており、モノクローム→4色カラー印刷という具合に音に色彩を与えてきた彼らが、いよいよフルカラー印刷に踏み切った。 当時は好きになれなかったのだが、今、改めて聴いてみると曲の良さに気付かされる。 映画『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』のサントラ用に "Pretty in Pink" をリメイク収録している。 |
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6th | 1989/10/31 | Book of Days [ブック・オブ・デイズ] |
前作 Midnight to Midnight は、プロデューサーの Chris Kimsey によるクリアーでゴージャスな音作りが功を奏し、このバンドをメインストリームに押し上げた。 しかし、彼らは、「この音は自分たちに合っていないのかもしれない」という思いがあったのではないだろうか? この 6th では華美な要素が排除され、初期のプリミティヴな音に戻っており、安心して聴くことができる。 |
Simple Minds[シンプル・マインズ]
origin: Glasgow, Scotland, U.K.
No. | released | title | cover | comment |
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1st | 1979/04/20 | Life in a Day [駆け足の人生] |
ポストパンク/ニュー・ウェイヴ系アーティストは、(表向き)ハード・ロックに距離を置き、70年代前半のグラム・ロックを通過し、70年代後半のパンクに触発されてバンドを始めた人が多い。 Jim Kerr (vo) と Charlie Burchill (gt) は、共に1959年生まれなので、まさにその世代である。 これは「David Bowie と Roxy Music が好きで、パンクも好き!」という感じの微笑ましいアルバムだ。 |
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2nd | 1979/11/23 | Real to Real Cacophony [リアル・トゥ・リアル・カコフォニー] |
デビュー・アルバムのパンクっぽいザラつきは殆ど無くなり、ダークなシンセポップになった。 デビュー・アルバムと、この 2nd を続けて聴くと、別のバンドかと感じるくらい変わっている。 このバンドは、日本での人気が低かったので洋楽雑誌のインタビューを殆ど読んだことがなく、バックグラウンドが分からないのだが、たぶん西ドイツのクラウトロックからの影響があると思う。 |
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3rd | 1980/02/12 | Empires and Dance [エンパイアーズ・アンド・ダンス] |
2nd から 4th にかけての Simple Minds は、バンド史上、最も尖っていた時期なのだが、特に、このアルバムの切れ味は同時代のシンセポップ・バンドの中でも群を抜いている。 人工的な加工が施された音と、欧州的な陰りが絶妙にマッチしている。 Manic Street Preachers の The Holy Bible のアートは、これからインスパイアされている。 |
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4th | 1981/09/04 | Sons and Fascination/Sister Feelings Call [サンズ・アンド・ファシネーション] |
Jim Kerr (vo) は小堺一機っぽくなり、Charlie Burchill (gt) は加藤茶に似てきてしまったが、この時期の彼らは本当にカッコ良く、英国のトップレベルにいる独創的なロック・バンドだった。 前作よりも硬質になった音は、当時のシンセポップの最高峰であり、今も古くなっていない。 CD 化にあたり、ボーナス・ディスクだった Sister Feeling Call とニコイチしたのは蛇足だ。 |
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5th | 1982/09/17 | New Gold Dream (81–82–83–84) [黄金伝説] |
2nd ~ 4th で「尖りまくりのシンセポップ・バンド」としての「Simple Minds 第一章」は終わった。 このアルバムは、Simple Minds が自らの聖域に踏みとどまりながら、ギリギリまでメインストリームに接近したアルバムであり、より幅広いリスナーを獲得したロック史に残る名盤である。 今の筆者にとっては 80年代へのノスタルジーを激しく刺激するアルバムの一つでもある。 |
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6th | 1984/02/06 | Sparkle in the Rain [スパークル・イン・ザ・レイン] |
このアルバムで Simple Minds は自らの聖域から一歩踏み出し、メインストリームへの勝負に打って出た。 結果として初の全英1位を獲得し、大勝したのだが、Simple Minds が Simple Minds らしかった最後のアルバムであり、これ以降、暫くはスタジアム・ロック路線を突き進む。 この後、外部ソングライターの書いた "Don't You (Forget About Me)" を大ヒットさせることになる。 |
Southern Death Cult → Death Cult → The Cult[サザン・デス・カルト → デス・カルト → ザ・カルト]
origin: Bradford, West Yorkshire, England, U.K.
No. | released | title | cover | comment |
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Compilation | 1983/00/00 | The Southern Death Cult [サザン・デス・カルト] |
後に The Cult へと発展する Southern Death Cult のコンピレーション・アルバム。 シンガーの Ian Astbury は、ネイティブ・アメリカン文化への憧憬が強く、このアルバムが放つトライバルな音からも、それを感じ取ることができる。 Ian は歌い上げるシンガーであり、ポストパンク/ニュー・ウェイヴ出身のシンガーとしては異色の存在だ。 |
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EP | 1983/00/00 | Death Cult [ブラザーズ・グリム] |
次の The Cult 以降でも不動のギタリストとなる Billy Duffy が参加した Death Cult の EP。 The Cult の デビュー・アルバム Dreamtime にも収録される "Horse Nation" を聴くと、いかにも未完成の The Cult という感じで、なかなか面白い。 後に、シングル "Gods Zoo" の収録曲等を加え、Ghost Dance というタイトルでリイシューされる。 |
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1st | 1984/08/31 | Dreamtime [スピリットウォーカー/夢を見るだけ] |
バンド名をシンプルに The Cult と縮め、漸くリリースされたデビュー・アルバム。 ゴシック・ロックの超名盤 2nd の Love や、ハード・ロックに転向した 3rd の Electric を聴いた後では線が細く感じられるが、Ian Astbury の歌唱力は同系統のバンドのシンガーを凌駕している。 Ian Astbury (vo) と Billy Duffy (gt) のペンによる楽曲の完成度も高い。 |
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2nd | 1985/10/18 | Love [ラヴ] |
ゴシック・ロックを代表する超名盤なのだが、ハード・ロックへの接近は既に始まっている。 このアルバムにより、The Cult は狭いゴシック・ロックの世界から一歩踏み出すことに成功した。 ハード・ロック好きの筆者にとっては、次のアルバムへの期待が否が応でも高まる内容なのだが、アンチ・ハード・ロックのファンにとっては一抹の不安を感じさせる内容なのだろう。 |
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3rd | 1987/04/06 | Electric [エレクトリック] |
予想どおりのハード・ロックであり、ポストパンク/ニュー・ウェイヴの成分は一欠片も無い。 ギターの音はカラカラに乾いているが、ヴォーカルには湿り気を帯びた陰りがある。 このアルバムへの影響源は、Led Zeppelin、Free、Bad Company、AC/DC 等であり、ここから聴き始めた人は、このバンドがポストパンク/ニュー・ウェイヴ出身であることには気付かないだろう。 |
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4th | 1989/04/10 | Sonic Temple [ソニック・テンプル] |
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前作が「押し」の名盤なら、今作は「押し」に加えて「引き」を備えたハード・ロックの名盤だ。 当時のメタル・バブルのブームに乗って、米国のチャートでも成功を収めた。 このアルバム以降、パーマネントなドラマーが不在となり、事実上、The Cult は Ian Astbury (vo) と Billy Duffy (gt) のプロジェクトのようになってしまったのが少し寂しい。 |
5th | 1991/09/23 | Ceremony [セレモニー] |
前作を踏襲するハード・ロックだが、Ian のネイティブ・アメリカン信仰が濃く、しっとり感がある。 Electric、Sonic Temple と比べると、何故か評価の低いアルバムなのだが(飽きられた?)、個人的には全く劣ることのないハード・ロックの名盤だと思っている。 これにてハード・ロック3部作を終え、次作では時流に合わせてオルタナティヴ・ロックに接近する。 |
The Teardrop Explodes → Julian Cope[サ・ティアドロップ・エクスプローズ → ジュリアン・コープ]
origin: Deri, Glamorgan, Wales, U.K.
No. | released | title | cover | comment |
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1st | 1980/10/10 | Kilimanjaro [キリマンジャロ] |
物凄く完成度の高いデビュー・アルバムであり、特にホーンとオルガンの音が良い。 ネオ・サイケデリアにカテゴライズされていたが、楽曲的には60年代から続く英国ロックの継承者である。 このバンドのオルガンの使い方は、後に登場する Inspiral Carpets や The Charlatans あたりのマッドチェスター系バンドに影響を与えているのではないだろうか?。 |
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2nd | 1981/11/23 | Wilder [ワイルダー] |
あまりにも完成度の高いデビュー・アルバムを作ったバンドは長続きしないことが多い。 このバンドも「また然り」であり、この 2nd アルバムをリリースした後、あっけなく解散している。 筆者は、このアルバムをリアルタイムではなく、解散してから聴いているので、後出しジャンケンのような言い方になってしまうのだが、いかにも解散しそうな寂しさを感じさせる音なのである。 |
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1st solo | 1984/03/00 | World Shut Your Mouth [ワールド・シャット・ユア・マウス] |
バンド解散後、約3年のインターバルを経てリリースされたソロ・デビュー・アルバム。 バンドの最終作(2nd) Wilder では失われて躍動感が、このアルバムでは復活しており、バンドのデビュー・アルバム Kilimanjaro に近いロック的な力強さが感じられる。 Julian Cope というミュージシャンは、バンドというフォーマットが合わない人だったのだろう。 |
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2nd solo | 1984/11/09 | Fried [フライド] |
先ずは、亀の甲羅を背負うカヴァーに度肝を抜かれる(止める人は居なかったのか?)。 全体的に、暗く内省的な曲が増えており、前作の躍動感が一気に後退している。 80年代末以降の彼は、押し付けのキリスト教社会、白人至上主義、男性中心主義という、世界が抱える暗部に切り込んでいくのだが、このアルバムの暗さからは、その萌芽を感じることができる。 |
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3rd solo | 1987/03/02 | Saint Julian [セイント・ジュリアン] |
ポップなネオ・サイケという感じで、Julian Cope のアルバムの中では最も取っ付きやすい。 聴きようによっては、この先、世界が抱える暗部に切り込んでいく前に、レーベルが喜ぶようなアルバムを「イタチの最後っ屁」のように1枚だけ作ったような気がしなくもない。 次作から重いテーマのアルバムを制作するにあたり、過去と決別するための1枚なのかもしれない。 |
~ 総括 ~
日本には「三羽烏」や「御三家」、或いは「四天王」という言葉があり、この手のものを選ぶ場合、3組か4組なので、7組というのは多すぎる。
ただし、筆者にとって、今回取り上げた7組は、ポストパンク/ニュー・ウェイヴ出身の中で、群を抜いて聴いた回数の多いアーティストだったので、1組も欠くことができず、こうなってしまった。
Bauhaus の Daniel Ash、Echo & the Bunnymen の Will Sergeant、Killing Joke の Geordie Walker は、筆者にとって、ポストパンク/ニュー・ウェイヴにおける3大ギタリストであり、この3人が後世に与えた影響は計り知れないと思っている。
The Psychedelic Furs と Simple Minds は、アンダーグランドな領域から飛び出し、メインストリームを巧みに操った優秀なロック・バンドだ。
The Cult は、ハード・ロックへの転身から全米での成功が鮮やかであり、過去の捨てっぷりが天晴れで気持ちよかった。
Julian Cope は、バンド全盛時代の英国において、孤軍奮闘したソロ・アーティストであり、これは David Bowie 依頼なのではないだろうか?(否、Marc Almond がいるか?)
一般的に、このジャンル出身の最大の大物は U2 で決まりなのだろう。
それに続くのは、The Cure、Depeche Mode、New Order あたりなのだろうか?
U2 については、筆者は、U2 の War と、Echo & the Bunnymen の Porcupine を、同じ日に聴いてしまったのがいけなかった。
Echo & the Bunnymen の切れ味の鋭さに嵌ったため、U2 が必要以上に「もっさい」感じに聴こえてしまったのだ。
The Cure、Depeche Mode、New Order は、いずれも、けっこう好きなのだが、そこまで嵌らなかったので、これは好みの問題としか言いようがない。
やはり、筆者にとって、ポストパンク/ニュー・ウェイヴ出身のアーティストと言えば、今回取り上げた7組で決まりなのである。