MEGADETH〔メガデス〕が1991年の来日公演の時に開演前SEで"Burning Inside"を流していたことがMINISTRY〔ミニストリー〕の日本での知名度を上げる切っ掛けになったのは有名な話だが、筆者がMINISTRYを知ったのも実はその時だった。
今までに聴いたことのないタイプのやけにカッコ良い曲をSEに使っているな思いながらも、その曲が誰の何という曲かを知るすべがなかったのだが、後にそれがMINISTRYの4thアルバム「THE MIND IS A TERRIBLE THING TO TASTE」の収録曲であることを洋楽雑誌(たぶんBURRN!かCROSSBEATだったと思う)で知った。
早速、CDショップに出向いて「THE MIND IS A TERRIBLE THING TO TASTE」を購入したのだが、それまでに聴いたことが無かった「ボディ・ミュージック的な打ち込み」と「スラッシュ・メタル的なギター」という組み合わせに相当ぶっとばされた記憶がある。
1980年代からDEPECHE MODE 〔デペッシュ・モード〕やERASURE〔イレイジャー〕等、ポップな打ち込み系の音楽も好んで聴いていた筆者だったが、MINISTRYのような激烈な打ち込み系の音楽に触れたのは初めてだった。
既にNINE INCH NAILS〔ナイン・インチ・ネイルズ〕の1stアルバム「PRETTY HATE MACHINE」を聴いてはいたが、NINE INCH NAILSが激烈化するのはEP「BROKEN」からであり、この時期のNINE INCH NAILSはけっこうポップだった。
MINISTRYへの興味が高まる中、絶妙なタイミングでリリースされたのが5thアルバム「PSALM 69: THE WAY TO SUCCEED AND THE WAY TO SUCK EGGS」なのだが、これが前作を上回る激烈さで、正に当時の筆者のようなMEGADETHのSEで彼らを知ったリスナーの期待に対してパーフェクトな回答を出してくれた一枚だった(ちなみに、このアルバムの正式なタイトルは「ΚΕΦΑΛΗΞΘ」いうのだが読み方が全く判らない)。
この時期のMINISTRYはAl Jourgensen〔アル・ジュールゲンセン〕とPaul Barker〔ポール・バーカー〕の二人体制なのだが、実質的にはAl Jourgensenのソロ・プロジェクトに限りなく近い状態だろう。
正直なところ、正式メンバーのPaul Barkerよりも"Jesus Built My Hotrod"にゲスト参加しているBUTTHOLE SURFERS〔バットホール・サーファーズ〕のシンガーGibby Haynes〔ギビー・ハインズ〕の方が目立っているくらいだ。
このアルバムから聴こえてくる冷徹で無機質で機械的なサウンド、そして多分に社会性を帯びたメッセージは多くの人がイメージするインダストリアル・メタルそのものであり、その後のシーンに登場した凡百のフォロワー達が辿り着けなった境地である。