3大ギタリストと言えば、その名を書く必要もないが、3大ヴォーカリストというのは存在するのだろうか?
筆者にとっての3大ヴォーカリストと言えば、SMALL FACES〔スモール・フェイセス〕~HUMBLE PIE〔ハンブル・パイ〕のSteve Marriott〔スティーヴ・マリオット〕、FREE〔フリー〕~BAD COMPANY〔バッド・カンパニー〕のPaul Rodgers〔ポール・ロジャース〕、THE JEFF BECK GROUP〔ザ・ジェフ・ベック・グループ〕~FACES〔フェイセス〕のRod Stewart〔ロッド・スチュワート〕だ。
過去の記事にも書いたことだが、Steve Marriottはド迫力の上手さ、Paul Rodgersは安定の上手さ、Rod Stewartは問答無用の上手さ、というのが筆者のこの3人に対する見解である。
もちろん、この3人と同じくらい好きなヴォーカリストは他に何人もいるのだが、結局のところ、筆者にとってはこの3人が最高のヴォーカリストなのである。
それでは、この3人の中で最も好きなのは誰なのかと問われた場合、これに答えるのはかなり難しいのだが、どうしても選ばなければならないのであればSteve Marriottと答えるだろう。
Steve Marriottを好きになった切っ掛けは、今回取り上げているHUMBLE PIEの5thアルバム「SMOKIN'」だ。
このアルバムで聴けるR&Bをルーツに持つSteve Marriottのソウルフルなヴォーカルは、ちょっと簡単に説明するのが困難なほど素晴らしい。
スタジオ・アルバムなのだが、ライヴ・アルバムのような臨場感があり、スピーカーから聴こえてくるSteve Marriottのヴォーカルは、目の前で彼が歌っているかのような迫力がある。
当然、最近のテクノロジーを駆使して録音された音源とは比較ならないほど貧弱な音なのだが、そんなことが全く気にならないほどSteve Marriottのヴォーカルが強力なのである。
Steve Marriottは業界内での人気も高く、LED ZEPPELIN〔レッド・ツェッペリン〕のJimmy Page〔ジミー・ペイジ〕もSteve Marriottがお気に入りらしい。
Robert Plant〔ロバート・プラント〕がJimmy Page & Robert Plant名義で「NO QUARTER」をリリースした際、何かの雑誌のインタビューで「Jimmy Page翁のお気に入りのヴォーカリストはSteve Marriottだから」と皮肉っぽく言っていたのが面白かった。
その記事を読んだ時に感じたのは、Robert Plantのような超絶的なヴォーカリストと一緒にバンドをやっていたJimmy Pageにまで、お気に入りと言わせてしまうSteve Marriottというヴォーカリストの凄さだったのである。