今回はTHE TEARDROP EXPLODES〔ザ・ティアドロップ・エクスプローズ〕の1stアルバム「KILIMANJARO」を取り上げることにした。
このアルバムのカヴァーは上に張ったものがオリジナル・カヴァーらしい。
しかし、かつて、1980年代に筆者が輸入レコード店で買ったこのアルバムのカヴァーは下に張ったものであり、こちらはオルタナティブ・カヴァーらしい。
人の好みは十人十色とは言うものの、大抵の人はオルタナティブ・カヴァーの方が美しいと感じるのではないだろうか?
筆者はオリジナル・カヴァーを知ったのはだいぶ後になってからなのだが、とにかくこのオリジナル・カヴァーが嫌いだ。
サイケ感を出そうとしているのかもしれないが、薄暗い照明の下で気色の悪い笑みを浮かべるメンバーの顔にショックを受けた。
ただし、中に詰まっている音楽は素晴らしいので、この悪趣味なカヴァーもそれで何とか相殺できてしまっている。
筆者はTHE TEARDROP EXPLODESよりもJulian Cope〔ジュリアン・コープ〕先に知った。
Julian Copeのシングル"Trampolene"のミュージック・ヴィデオから彼の3rdソロ・アルバム「SAINT JULIAN」を知り、そしてTHE TEARDROP EXPLODESに遡った。
こういうニュー・ウェイヴ系バンドの初期の作品は、粗削りで素人っぽいことが多いのだが、THE TEARDROP EXPLODESは1stアルバムの時点で既に完成されている。
それ故、このバンドはアルバム2枚で解散してしまったのではないだろうか。
オルガン等キーボード系楽器の使い方は、後に登場するINSPIRAL CARPETS〔インスパイラル・カーペッツ〕やTHE CHARLATANS〔ザ・シャーラタンズ〕が影響を受けていそうだ。
筆者がこの時代(1980年代初期)のニュー・ウェイヴ系バンドを後追いで聴く時の楽しみの一つとして、徐々に音楽性を成熟させていくのを追いかけることだ。
そして、成熟させ過ぎて失敗するバンドも多いので、それすら聴いていて面白いと思うのだがTHE TEARDROP EXPLODESに関してはそれが出来ない。
彼等はこの1stアルバム「KILIMANJARO」と2ndアルバム「WILDER」で全てを完成さてしまい、ある意味勝ち逃げしたバンドなのである。